登録支援機関比較

特定技能の支援を自社でする条件|登録支援機関に任せない会社の基準・2027年改正の常勤と人数・切り替えの届出

「特定技能」の外国人を受け入れた会社には、その人が日本で働き、暮らしていけるように手助け(支援)をする決まりがあります。この支援を、国に登録した「登録支援機関」に任せずに、受け入れた会社が自分で行うことを「自社支援」といいます。

支援を登録支援機関に全部任せている会社は、支援をする体制の基準を満たしているとみなされます。なので、委託(任せること)をやめて自社で支援するときは、その基準を自社で満たしている必要があります。

結論

  • 自社で支援できるのは、過去2年間に、働くことのできる在留資格の外国人を雇った実績があるか、外国人の生活相談を仕事でしたことのある人が社内にいる会社です。そのうえで、外国人の上司ではない人を支援の担当に選び、本人が分かる言葉で支援して、記録を残せることが条件です。
  • 2027年4月1日からは、支援の責任者と担当者を、支援をする事業所(工場・店・事務所など)ごとに、常勤(毎日のように働いている)の人から選びます。担当者1人が支援できる外国人は50人未満です。
  • 全部委託から切り替えるときは、委託を終えた日から14日以内に、支援計画の変更(参考様式第3-2号)と委託契約の終了(第3-3-2号)の2つの届出を、受け入れている会社が出入国在留管理庁(入管)に出します。
仮の例:A工場に外国人60人、B工場に10人。2027年4月より後に、それぞれの工場で自社で支援する仮の数字
A工場の支援担当者
1人で49人までなので、60人には2人
B工場の支援担当者
10人なので1人
支援責任者
工場ごとに1人。支援担当者が兼ねてよい
常勤の人から選ぶ人数少なくとも3人

※ 数字は、数え方を見せるための仮のものです。

※ 支援責任者は支援担当者を兼ねられるので、A工場では担当者2人のうち1人が、B工場では担当者1人が責任者を兼ねれば、3人で足ります。3人とも、外国人の上司ではない人から選びます。

自社で支援するための基準

自社で支援する会社が満たす基準は、「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(ここでは省令と呼びます)の第2条第2項に並んでいます。分野によっては、その分野を受け持つ省庁が告示で決めた基準も足されます。

基準 中身
① 実績か経験 下の3つのどれか
② 言葉 本人が分かる言語
③ 記録 1年以上残す
④ 担当の選び方 上司でない人
⑤ これまでの支援 怠っていない
⑥ 面談 本人と上司の両方

⑤は、外国人と雇用契約を結ぶ日の前5年以内と、その日より後に、支援計画どおりの支援を怠ったことがないという基準です。いちばん迷いやすいのは①なので、先に①から確かめてください。

基準①を満たす3つの道

受け入れの実績

  • 過去2年間に、働ける在留資格の外国人を1人以上雇った
  • その間、入管や労働の法律を守っていた

生活相談の経験

  • 過去2年間に、外国人の生活相談を仕事でした役員か職員がいる
  • その人たちの中から、責任者と担当者を選ぶ

同じくらいと認められる

  • 日本人などをきちんと雇ってきた実績がある
  • 出した資料で、入管が1社ずつ判断する

今、登録支援機関に全部任せて特定技能1号の外国人を雇っている会社も、その雇った実績が「受け入れの実績」として認められます。なので、過去2年間、法律を守って特定技能の外国人を雇ってきた会社は、①を受け入れの実績で満たせます。

ただし、次のような場合は、実績や経験として認められません。

  • 雇っている外国人に賃金を払っていなかった、または契約を守らなかったときの違約金を約束させていた
  • 会社にいたのが、外国人の代表者本人だけだった(一人親方や個人事業主も同じ)
  • 生活相談が、友人としての相談やボランティアだった
  • 求人を紹介しただけだった

生活相談の仕事に当たるのは、部屋や携帯電話などの生活に必要な契約の手伝い、暮らしのルールの説明(生活オリエンテーション)、定期的な面談のような内容です。①を実績で満たすなら、雇った外国人の一覧(「受け入れた中長期在留者リスト」参考様式第1-11-2号)を、相談の経験で満たすなら、相談に乗った外国人の一覧(「生活相談業務を行った中長期在留者リスト」第1-11-3号)を入管に出します。

③は、雇用契約が終わった日から1年以上、支援の記録を、支援をする事業所に置いておくという基準です。

支援責任者と支援担当者に選べる人

自社で支援するときは、社内の役員か職員から「支援責任者」と「支援担当者」を選びます。

支援責任者は、支援計画(どんな支援を誰がするかを書いた計画)づくりや担当者の管理、届出などをまとめる人です。支援担当者は、その計画に沿って、実際に外国人の支援をする人です。

1人が両方を兼ねることもできます。ただし、兼ねる場合でも、責任者と担当者の両方の基準に合っている必要があります。

支援責任者・支援担当者に選べる人と選べない人

選べる人

  • 外国人とは違う部署の職員
  • 外国人に仕事の指示を出す立場にない人

選べない人

  • 代表取締役
  • 外国人のいる部署を監督する長(製造課の外国人なら製造部長)
  • 部署が違っても、実際には外国人に指示を出せる人

選べない人は、組織図を書いたときに、外国人から上にたどる線(縦のライン)に並ぶ人です。支援をする人は、会社と外国人のあいだでもめごとが起きたときにも、中立でいられる立場でなければならないからです。

なので、社長と、外国人と同じ現場で働く人しかいない会社では、選べる人がいないことがあります。その場合は、委託を続けるほうが確実です。

また、支援責任者と支援担当者は、法律で決められた「選べない理由」(欠格事由といい、一定の刑罰を受けたことなどが当たります)に当たらない人でなければなりません。切り替えの届出書にも、当たらないことを確かめる欄があります。

2027年4月から自社にもかかること

2027年4月1日の改正で、支援の体制の決まりが変わります。入管の案内は「支援を行う事業所(登録支援機関の場合は支援業務を行う事務所)ごと」と書いていて、登録支援機関だけでなく、自社で支援する会社の事業所も対象です。

入管が示した改正の図にも、「自社支援の場合」が載っています。

決まり 今 2027年4月から
支援責任者 常勤でなくてよい 常勤の人から
支援担当者 常勤が望ましい 常勤の人から
選ぶ単位 担当者は事業所ごと 両方とも事業所ごと
支援をしてよい人 ― 責任者と担当者だけ
支援責任者の講習 ― 受講が義務
担当者1人あたり ― 外国人50人未満

「―」は、改正で新しくできる決まりです。表の「今」は、2026年10月時点の入管の運用要領(手続きの手引き)の書き方です。

講習は、入管の法律や働くときの法律などを学ぶ講習です。ただし、2027年4月より後も、当分のあいだは受け終えていなくても差し支えないとされています。

一方、登録支援機関には「支援を任せている会社の数を10で割った数より多い担当者を置く」という基準もできますが、これは登録支援機関だけの基準で、自社で支援する会社にはかかりません。委託を続ける場合に委託先の人数を確かめる方法は、2027年4月の改正で今の委託先を続けられるかで確かめられます。

言葉・記録・面談の体制

②の「本人が分かる言語」は、母国語でなくてもかまいません。ただし、本人が内容を余すことなく理解できる言語であることが必要です。

⑥の面談は、支援責任者か支援担当者が、3か月に1回以上、外国人本人と、その上司の両方と行います。③の記録は、少なくとも次の4つについて残しておきます。

  • 支援の体制(支援をする事務所、職員の数、責任者と担当者の経歴など)
  • 支援の委託の契約(支援の一部を誰かに任せるときの契約と、支援にかかった費用の出入り)
  • 支援する外国人(名前、支援計画の中身、支援を始めた日と終えた日)
  • 支援をしたこと(事前ガイダンス・相談・定期的な面談などの日時と中身)

一部だけ任せる方法と料金

自社で支援するといっても、全部を自社の人だけで行う必要はありません。自社で基準を満たしていれば、会社の責任のもとで、支援の一部をほかの人や会社に任せられます。

ただし、定期的な面談と、法律違反に気づいたときの役所への通報は、ほかに任せられません。また、何を任せるかを支援計画にはっきり書く必要があります。

一部だけを任せても、全部を任せたときのように「基準を満たしているとみなす」扱いにはならないので、基準は自社で満たします。

入国の前後に1回だけする支援を任せたいときの料金の目安として、登録支援機関の一覧の33機関の公式サイトを確かめました。1回や◯時間ごとの料金を書いていたのは5機関で、支援ごとに見ると次のとおりです。

1回だけの支援 書いている機関 1回の料金
事前ガイダンス 3機関 20,000円〜33,000円
生活オリエンテーション 3機関 20,000円〜50,000円
空港などへの送迎 3機関 10,000円〜33,000円

事前ガイダンスは、入国の前に、働く条件などを本人に説明することです。「2万〜3万円」のように幅を書いている機関はいちばん安い額で数えていて、税込か税抜かの書き方もそろっていません。

全部を任せる場合の月額は、掲載機関の中央値(安い順に並べたときの真ん中)で、1人あたり月20,000円です。自社で支援して1回だけの支援を任せる場合は、払うのはその回の料金だけです。

月額に何が入っているかの見方は、登録支援機関の委託料の相場と見積書の読み方で確かめられます。

全部委託から切り替える手順

全部を任せている委託契約を先に終えてしまうと、自社の支援の体制がまだできていない日ができます。全部委託の契約を終えたあとは、自社で基準を満たすか、別の登録支援機関と契約しないと、特定技能1号の外国人を受け入れられない状態になります。

なので、自社の体制を先に決めてから、契約を終える日を決めてください。

全部委託から自社支援に切り替える流れ
基準を確かめる①〜⑥と、改正のあとの常勤・人数
責任者と担当者を決める外国人の上司でない人
委託先に終わる日を伝える契約書の解約の期限を見る
本人に説明する訳した支援計画書を渡す
入管に2つの届出を出す委託を終えた日から14日以内

すでに済んだ事前ガイダンスや生活オリエンテーションは、自社でやり直さなくてかまいません。一方、これまでの面談や相談の記録は委託先の手元にあるので、契約を終える前に写しをもらえるかを聞いておくと、最初の面談から話が通じやすくなります。

委託先に頼む記録の種類は、登録支援機関を乗り換える手順と届出の「前の機関の記録」で確かめられます。

本人には、書き換えた支援計画書を本人が十分に理解できる言葉に訳して渡し、新しい相談先(自社の支援担当者の名前と連絡先)と、最初の面談の日を伝えてください。

届出書の書き方

切り替えたときに出す届出は、支援計画の変更の届出(参考様式第3-2号)と、委託契約の終了の届出(第3-3-2号)の2つです。どちらも、登録支援機関ではなく、受け入れている会社が出します。

第3-2号には、入管の記載例に「登録支援機関への委託を終了し、自社支援を実施する場合」の見本があります。主な欄は次のようになっています。

支援計画の変更に係る届出書(参考様式第3-2号)の見本(委託を終えて自社で支援する場合)数字は仮

変更年月日20XX年〇月〇日①
特定技能所属機関の欄☑29 ☑30 ☑31 ☑32②
登録支援機関の欄☑33 10~18 全ての変更③
支援の内容の欄☑34 19~28 全ての変更④
③届出機関の確認欄☑⑤
  1. ①登録支援機関との委託契約を、実際に終えた日を書きます。14日以内の期限は、この日から数えます
  2. ②特定技能所属機関(外国人を受け入れている会社)の欄です。自社に支援責任者と支援担当者を置くので、29(支援責任者の氏名と役職)・30(支援している外国人の数)・31(支援担当者の数)・32(支援をする事務所の所在地)を選びます。32は、支援をする事務所が本店と同じ住所なら選びません
  3. ③登録支援機関の情報を支援計画書から全部消すので、項番33を選びます
  4. ④すべての支援で担当者が替わるので、項番34を選びます。済んだ事前ガイダンスなどは、添える支援計画書に新しい担当者を書かなくてかまいません
  5. ⑤訳した支援計画書を本人に渡して説明したことと、自社の支援責任者と支援担当者が欠格事由に当たらないことを確かめるチェックです

第3-2号には、書き換えた支援計画書(参考様式第1-17号)と、特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)を添えます。支援計画書は、変わった部分だけを書けば足ります。

第3-3-2号は、次のように書きます。

出し先は、会社の本店の住所を受け持つ地方の入管の窓口か、インターネットの「出入国在留管理庁電子届出システム」です。インターネットで出すには、前もって利用者情報の登録が必要です。

切り替えたあとに増える仕事

自社で支援すると、委託料はかからなくなります。その代わりに、これまで委託先がしていた仕事と、自社で支援する会社だけに求められる届出が、社内の仕事になります。

仕事 全部委託 自社で支援
10項目の支援 委託先 自社
定期的な面談 委託先 自社
年1回の届出の支援の部分 委託先と連名 自社で書く
受け入れの実績の資料 要らない 年1回の届出に添える
支援ができなかったときの届出 委託先が報告 自社が出す
支援の記録 委託先 自社

「支援ができなかったときの届出」は、支援計画に書いた支援ができなかったときや、面談で分かった問題をほかの役所に相談したときに出す届出(参考様式第3-7号)です。全部を任せている会社は出さなくてよい届出なので、切り替えたあとは、面談の記録と一緒に、出す場面がないかを毎回確かめてください。

年1回の定期届出の時期と、ほかの届出の様式・期限は、特定技能の届出一覧で確かめられます。

また、支援にかかる費用は、自社で支援する場合も、直接にも間接にも外国人本人に負担させてはいけません。

向いている会社と向いていない会社

ここまでの基準を、社内の人の顔ぶれに当てはめると、次のように分かれます。

自社支援に向いている会社と、委託を続けたほうがよい会社

自社支援に向いている

  • 過去2年間、働ける在留資格の外国人をきちんと雇ってきた
  • 外国人の上司ではない常勤の人を、支援をする事業所ごとに置ける
  • 本人の言葉で話せる社員か、すぐ頼める通訳がいる

委託を続けたほうがよい

  • 社長と、外国人と同じ現場の人しかいない
  • 支援を任せられる人が1人だけで、休んだときの代わりがいない
  • 工場や店が多く、それぞれに常勤の担当者を置けない

委託を続ける場合も、今の委託先が2027年4月の基準を満たせるかは確かめておく必要があります。委託先を比べるときは、登録支援機関の一覧から候補を探せます。

今日やること

  1. 1実績を書き出す過去2年間に雇った外国人の在留資格と、雇っていた期間を書き出す(参考様式第1-11-2号のリストの形にしておくと、入管に出すときにも使えます)
  2. 2選べる人を書き出す外国人の上司ではない常勤の人を、支援をする事業所ごとに挙げ、本人の言語で話せるかも書く
  3. 3委託先と入管に聞く委託先に「契約を終える場合、何日前までに伝えればよいですか。面談と相談の記録の写しをもらえますか」と聞き、入管に「2027年4月の改正のあと、自社支援の体制はいつまでに整えればよいですか」と聞く

出典