登録支援機関を乗り換える手順と届出|契約の終了日と開始日・本人への説明・記録の引継ぎ・一部委託と全部委託
「登録支援機関」は、特定技能の外国人を受け入れた会社の代わりに、その人が日本で暮らしていけるようにする支援を引き受ける、国に登録した機関です。支援を全部任せている(全部委託している)機関を、別の登録支援機関に替えることを、ここでは「乗り換え」と呼びます。
乗り換えると、どんな支援を誰がするかを書いた「支援計画」も書き換わります。なので、出入国在留管理庁(入管)への届出と、外国人本人への説明が必要になります。
結論
- 今の機関との契約が終わる日と、新しい機関の支援が始まる日のあいだに、すき間を作らないでください。全部委託の契約が切れたままだと、特定技能1号の外国人を受け入れられない状態になります。
- 入管に出すのは、支援計画の変更の届出(参考様式第3-2号)と、契約の終了と締結の届出(第3-3-2号に説明書の第1-25号を添える)です。出すのは受け入れている会社で、期限はどれも14日以内です。
- すでに済んだ事前ガイダンスや生活オリエンテーションは、やり直さなくてかまいません。ただし本人には、書き換えた支援計画書を本人が分かる言葉に訳して渡し、何が変わったかを説明します。
仮の例:今の機関との契約を9月30日で終え、10月1日から新しい機関に任せる仮の数字- 今の機関が支援した期間
- 4月1日〜9月30日(6か月)
- 新しい機関が支援する期間
- 10月1日〜翌年3月31日(6か月)
- 支援が途切れた日
- 0日
翌年5月31日までに出す定期届出2つの機関の支援の実施状況を合わせて出す
※ 日付は、段取りを見せるための仮のものです。
※ 定期届出は、4月1日から翌年3月31日までの1年分を、翌年の4月1日から5月31日までに出す届出です。年の途中で替えると前の機関が支援した分も入るので、前の機関にも協力してもらう必要があります。
乗り換えの段取り
今の機関との契約を先に終えてしまうと、新しい機関が決まるまで、支援をする人がいない日ができます。なので、新しい機関を先に決めてから、今の契約を終える日を決めてください。
乗り換えの段取り今の契約書を見る契約期間と、解約を申し出る期限
↓→新しい機関と契約する支援が始まる日を、今の契約の終わりに続ける
↓→前の機関から記録をもらう面談や相談の記録の写し
↓→
新しい機関の候補には、2027年4月の改正で今の委託先を続けられるかに書いた5つの質問をしておくと、支援担当者の人数が足りない機関を避けられます。候補は登録支援機関の一覧から探せます。
契約の終了日と開始日
支援の全部を登録支援機関に任せている会社は、支援をする体制の基準を満たしているとみなされています。ただし、その契約を終えたら、自社で基準を満たすか、別の登録支援機関と契約しないと、特定技能1号の外国人を受け入れられないことになっています。
届出の期限は、2つの日から別々に数えます。新しい契約の届出は契約を結んだ日から、今の契約が終わった届出は終わった日から、それぞれ14日以内です。
たとえば、新しい機関と9月1日に契約書を交わして支援を10月1日から始めると、新しい契約の届出の期限は9月の中ごろに来ます。なので、契約書の日付を支援が始まる日に近づけておくと、終了と締結を1枚の届出書にまとめて出しやすくなります。
新しい機関との契約の中身は、次の説明書(参考様式第1-25号)に書いて、届出書に添えます。
登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(参考様式第1-25号)の見本数字は仮
| 契約の相手方 | 〇〇株式会社 | ① |
| 契約年月日 | 9月1日 | ② |
| 委託する支援業務 | 該当 | ③ |
| 委託料(1名当たりの月額) | 〇〇,〇〇〇円 | |
| 契約期間 | 10月1日から | ④ |
- ①新しい登録支援機関の名前と、「〇〇登-〇〇〇〇〇〇」の形の登録番号を書きます。登録番号は、新しい機関が入管から受け取った「登録支援機関通知書」に書かれている番号です
- ②契約書を交わした日です。新しい契約の届出の14日以内は、この日から数えます
- ③欄の名前は「委託する支援業務(1号特定技能外国人支援計画の全部であること)」です。支援の全部を任せるなら「該当」です。一部だけを任せる場合は、下の「一部委託と全部委託」の章を見てください
- ④始まりの日を今の契約の終わりの日に続けて、支援が途切れないようにします
届出の様式と期限
乗り換えのときに入管に出す書類は、次の3つです。どれも受け入れている会社が出し、登録支援機関が会社の代わりに届出をすることは認められていません。
似た名前の第3-3-1号は、同じ機関のまま委託料や契約期間だけを変えたときの届出なので、乗り換えには使いません。第3-3-2号の欄の書き方は、2027年4月の改正の記事の「届出書の書き方」に見本があります。
第3-2号は、支援計画が変わったことを知らせる届出です。入管の記載例には、委託先を替えた場合の書き方が載っていて、主な欄は次のようになっています。
支援計画の変更に係る届出書(参考様式第3-2号)の見本(委託先を替えた場合)数字は仮
| 変更年月日 | 10月1日 | ① |
| 変更事項(登録支援機関) | ☑33 | ② |
| 変更事項(支援の内容) | ☑34 | ③ |
| 変更後の内容 | 別添の支援計画書のとおり | ④ |
| ③届出機関 | ☑ | ⑤ |
- ①新しい機関による支援が、実際に始まった日を書きます。契約書を交わした日ではありません。第3-2号の14日以内は、この日から数えます
- ②項番33は「10~18 全ての変更」です。登録支援機関の名前・住所・支援担当者の数などが全部変わるので、これを選びます
- ③項番34は「19~28 全ての変更」です。すべての支援で支援担当者が変わるので、これを選びます
- ④書き換えた支援計画書(参考様式第1-17号)を添えます。変わった部分だけを書けば足ります
- ⑤「変更した支援計画書について、支援対象者が十分に理解できる言語に翻訳し…十分に説明しました」という確認の欄です。本人への説明を済ませてから、チェックを付けます(次の章)
本人への説明
支援計画を変えたら、書き換えた支援計画書を、本人が十分に理解できる言葉に訳して渡し、何が変わったかを説明します。第3-2号の届出書には、これを済ませたことを確かめるチェックの欄があります。
説明するときは、次の3つを伝えておくと、本人が困ったときに迷わずにすみます。
- 新しい機関の名前と、相談の連絡先(電話番号と、話せる言葉)
- 新しい支援担当者の名前と、最初の面談の日
- 前の機関に相談するのは、いつまでか
支援計画には、3か月に1回以上の定期的な面談が入っています。面談の担当者が替わったあとの最初の面談は、オンラインではなく、対面で行うことが望まれるとされています。
前の機関の記録
登録支援機関は、面談や相談などの支援の記録を帳簿にして、外国人の雇用契約が終わった日から1年間保存することになっています。なので、乗り換えたあとも、それまでの記録は前の機関の手元に残ります。
一方、新しい機関が本人の事情を知るためにも、次の定期届出で前の機関の支援の分をまとめるためにも、その記録が必要になります。今の契約を終える前に、次の記録の写しをもらえるかを前の機関に聞いてください。
- 定期的な面談の報告書(本人用と、上司などの監督者用)
- 相談や苦情に対応した記録
- 事前ガイダンスと生活オリエンテーションの確認書
- 住まいの確保や、役所の手続きへの同行の記録
定期届出との関係
特定技能の外国人を受け入れている会社は、1年に1回、受け入れの状況や支援の実施状況を入管に届け出ます(定期届出)。4月1日から翌年3月31日までの分を、翌年の4月1日から5月31日までに出す決まりです。
支援の全部を任せている場合、支援の実施状況の部分は、会社が登録支援機関から取りまとめ、登録支援機関と連名で出します。年の途中で乗り換えた年は、前の機関と新しい機関の両方が支援したことになります。
- 全部委託で、複数の登録支援機関に任せている場合に使う署名欄の別紙(参考様式第3-6号別紙2)があります。乗り換えた年にこの別紙を使うかは、届出を出す前に、本店の住所を受け持つ入管に確かめてください
- 前の機関には、契約を終える前に「次の定期届出で、支援した期間の実施状況を出して署名してもらえますか」と確かめておきます
定期届出でそろえる書類と、乗り換え以外で出す届出の様式・期限は、特定技能の届出一覧で確かめられます。
一部委託と全部委託
支援の10項目をまとめて1つの登録支援機関に任せるのが「全部委託」、一部の支援だけをほかの人に任せて残りを自社でするのが「一部委託」です。入管の届出でいう「支援委託契約」は、全部委託の契約のことです。
全部委託と一部委託の違い全部委託
- ・支援の体制の基準は、満たしているとみなされる
- ・任せる先は、1つの登録支援機関だけ
- ・替えるときは、第3-2号と第3-3-2号を出す
一部委託
- ・会社が自分で、支援の体制の基準を満たす
- ・任せる範囲を、支援計画にはっきり書く
- ・定期的な面談と、役所への通報は任せられない
- ・任せる相手を替えたら、第3-2号を出す
一部委託で任せる相手を替えたときは、支援委託契約の届出(第3-3-2号)ではなく、支援計画の変更の届出(第3-2号)を出します。支援計画書の「Ⅲ 登録支援機関」の欄も、全部委託のときだけ書く欄です。
全部委託から一部委託に切り替えると、自社で基準を満たす必要が出てきます。自社で支援をする条件は、特定技能の支援を自社でする条件で確かめられます。
乗り換え先の初期費用
乗り換え先の機関から、支援を始めるときの初期費用を求められることがあります。登録支援機関の一覧の33機関のうち、初期費用を公式サイトに書いていた15機関について、初期費用の中身を数えると次のとおりです。
「事前ガイダンスなど」は、事前ガイダンスか生活オリエンテーションを初期費用の中身に挙げている機関です。1つの機関が2つの中身を挙げていることや、「見積り」とだけ書いている機関もあるので、行の数を足しても15機関にはなりません。
乗り換えでは、済んだ事前ガイダンスや生活オリエンテーションをやり直さなくてよいことになっています。なので、見積もりを頼むときは「入国のときの支援は前の機関で済んでいます。その分の初期費用はかかりますか」と聞いてください。見積書の行の読み方は、登録支援機関の委託料の相場と見積書の読み方で確かめられます。
よくある間違い
なお、外国人が退職したことで委託契約が終わるときは、乗り換えとは違い、支援計画の変更の届出(第3-2号)は要りません。また、登録支援機関は任された支援を自分で行う決まりで、別の会社にさらに任せること(再委託)はできないので、「面談をするのは、どこの会社の誰ですか」と聞いておくと安心です。
今日やること
- 1今の契約書を見る契約期間の終わりの日と、解約を何日前までに申し出るかを書き出す
- 2新しい機関に日付を伝える登録支援機関の一覧から選んだ機関に「◯月◯日から支援を始めてください。入国のときの支援は前の機関で済んでいます」と伝え、説明書(参考様式第1-25号)に書く中身をもらう
- 3前の機関に記録を頼む「面談と相談の記録の写しをください。次の定期届出で、支援した期間の実施状況を出して署名してもらえますか」と聞く