「飲食料品製造業分野」は、特定技能(人手が足りない分野で、一定の技能と日本語の力を持つ外国人が働ける在留資格)の分野の1つです。食品工場などで、食べ物や飲み物(お酒を除く)をつくる仕事をしてもらうためのもので、農林水産省が受け持っています。
この分野で働く特定技能1号の外国人は、2025年12月末に9万3,393人で、1号と2号を合わせると全分野の中で一番多くなっています。受け入れられるかどうかは、会社全体の業種ではなく、外国人が働く事業所(工場や店などの1か所ごと)が何を主にしているかで決まります。
結論
- 受け入れられるのは、日本標準産業分類(国が決めた産業の分け方)で「食料品製造業」などの決まった産業を、主にしている事業所です。主かどうかは、その事業所でつくる製品の直近の売上高で、一番大きな割合を占める活動で決まります。
- スーパーは食料品をつくるバックヤードだけ、パン屋や菓子屋はつくって売る店なら対象です。一方、飲食店の中の調理場や、注文を受けてその場でつくる弁当屋は外食業分野で、こちらの分野では受け入れられません。
- 在留の申請の前に、原則として事業所ごとに「食品産業特定技能協議会」に入ります。加入証が出るまで2〜3か月かかり、外食業分野で入っている会社も、飲食料品製造業分野で新しく手続きが要ります。
- 工場でつくったそう菜を卸す売上
- 年6,000万円
- 売店で仕入れた品を売る売上
- 年2,500万円
※ 金額は、判定の仕方を見せるための仮のものです。
※ 売上が一番大きいのが「そう菜をつくって卸すこと」なので、この事業所は食料品製造業として対象になります。反対に、売店の売上のほうが大きければ小売業になり、工場の部分で働いてもらうこともできません。
対象になる事業所
外国人が働く事業所は、次の表の産業のどれかを「主として」行っている必要があります。番号は日本標準産業分類のもので、自社の事業所がどれに当たるかを、協議会への加入を申し込む前に確かめておきます。
| 分類の番号 | 産業 |
|---|---|
| 中分類09 | 食料品製造業 |
| 小分類101 | 清涼飲料製造業 |
| 小分類103 | 茶・コーヒー製造業 |
| 小分類104 | 製氷業 |
| 小分類583 | 食肉小売業※ |
| 細分類5621 | 総合スーパー※ |
| 細分類5811 | 食料品スーパー※ |
| 細分類5861 | 菓子の製造小売 |
| 細分類5863 | パンの製造小売 |
| 細分類5896 | 豆腐・かまぼこ等の製造小売※ |
※の付いた産業は、その事業所で食料品をつくっている(豆腐・かまぼこ等は、それをつくっている)場合に限ります。
- 中分類09の食料品製造業には、肉や魚の加工品・缶詰・漬物・調味料・パン・菓子・めん類・冷凍食品・そう菜などの製造業が入ります。食料品や飲み物をつくって、小売店や卸の会社などに卸す事業所が対象です。
- お酒・塩・医薬品・香料・ペットフードなどの飼料をつくる事業所と、食品の卸売業、表に無い小売業(百貨店・コンビニエンスストア・ドラッグストアなど)は、対象になりません。
- 食肉小売業と、菓子・パン・豆腐・かまぼこ等の製造小売が対象になるのは、自分でつくった品をその店で売る、つくることと売ることが一体の形だからです。
迷いやすい事業所
1つの事業所でいくつもの活動をしているときは、つくる製品の直近の売上高で、一番大きな割合を占める活動がその事業所の産業になります。農林水産省のFAQでも、その事業所で製造・加工した製品の売上が、全体の売上の中で一番大きいことが条件とされています。なので、同じ「弁当」や「給食」でも、誰に売るか、どこでつくるかで、対象になるかどうかが分かれます。
対象になる
- スーパーの、そう菜・パン・鮮魚・精肉・青果を加工するバックヤード
- 小売や卸の会社の専用工場(プロセスセンター)
- 店とは別の独立した事業所のセントラルキッチン・給食センター
- 弁当やそう菜をつくって、小売や卸の会社に卸す事業所
- 製造を請け負って、主に食品をつくっている事業所
対象にならない
- 飲食店の中の調理場、店と同じ敷地のセントラルキッチン
- 注文を受けてその場でつくる持ち帰り弁当、仕出し・デリバリー
- 学校の調理室、病院や福祉施設に付いた厨房
- スーパーに出店しているテナント、コンビニやドラッグストアのバックヤード
- 箱詰めや荷役だけを請け負う事業所、人材派遣
「対象にならない」側のうち、飲食店の調理場・持ち帰り弁当・仕出し・学校や病院の厨房は、外食業分野の対象です。外食業分野の受け入れの今の扱いは、外食業分野の特定技能で確かめられます。
- 小売の店が、店の中の一区画で食品をつくっていても、店の主な活動は売ることなので対象になりません(表の※の店を除きます)。
- 対象かどうか分からないときは、協議会への加入を申し込む前に、農林水産省に問い合わせてください。協議会で対象でないと判断されると、外国人を雇えないからです。
させられる仕事
させられるのは、飲食料品(お酒を除く)の製造・加工と、そのための安全衛生の仕事です。「製造・加工」は、原料の処理・加熱・殺菌・成形・乾燥などの一連の作業のことで、ただ選り分けたり包んだりするだけの作業は入りません。
原料の受け入れ、製品の納品、清掃のように、日本人の従業員もふだんしている関連の仕事を、ついでに頼むことはできます。ただし、関連の仕事だけをさせることは認められていません。
2027年4月1日からは、今の業務区分「飲食料品製造業全般」が、「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2つに分かれます。魚介類の加工で受け入れる予定があるなら、受け入れる前に新しい区分の案内も確かめてください。
外食業分野との違い
飲食料品製造業分野と外食業分野は、どちらも農林水産省が受け持ち、協議会も同じ「食品産業特定技能協議会」です。ただし、働ける事業所ははっきり分かれています。たとえば外食の会社のセントラルキッチンは飲食料品製造業分野の事業所なので、外食業分野の特定技能の人は働けません。
外食業分野では、2026年4月13日から、海外から呼ぶための在留資格認定証明書の交付が一時的に止まっています。飲食料品製造業分野にも1号の受け入れの上限があり、上限を超えそうになったときは、農林水産大臣が交付を一時的に止めるよう求めることになっています。
- 2028年度末までの1号の上限
- 13万3,500人
- 2025年12月末の1号の在留者(速報値)
- 9万3,393人
※ 上限は運用方針(2026年1月23日閣議決定)、在留者数は農林水産省の資料(2026年5月更新)の数字です。在留者数は毎月変わります。
在留者のうち、技能実習2号を終えて移ってきた人が52,190人で、全体の56%を占めています。受け入れの予定を立てるときは、農林水産省の分野のページで、交付の扱いについての新しいお知らせが出ていないかも見ておくと安心です。
試験と日本語
飲食料品製造業分野の特定技能1号になるには、「飲食料品製造業特定技能1号評価試験」と、日本語の試験(国際交流基金日本語基礎テストか、日本語能力試験のN4以上)の両方に合格する必要があります。2026年1月23日の運用方針では、日本語の水準が「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上と書かれています。
技能実習から移る人は、次のとおり試験が免除されます。
- 缶詰巻締・食鳥処理加工業・加熱性と非加熱性の水産加工食品製造業・水産練り製品製造・牛豚食肉処理加工業・ハム・ソーセージ・ベーコン製造・パン製造・そう菜製造業・農産物漬物製造業などの技能実習2号か3号を良好に修了した人は、技能の試験も日本語の試験も免除されます。
- 移ったあとは、実習のときの職種にかかわらず、飲食料品製造業に当たる職種で働けます。たとえば、パン製造の実習を終えた人に、水産食料品の製造をしてもらうこともできます。
- ほかの職種の技能実習2号を良好に修了した人は、技能の試験には合格する必要がありますが、日本語の試験は受け直さなくてかまいません。
2号になるには、2号の試験に合格するほかに、複数の作業員を指導しながら工程を管理する立場(ライン長や班長など)で2年以上働いた経験が要ります。
誓約書の見方
飲食料品製造業分野で受け入れる会社は、協議会への加入と在留の申請で、分野の誓約書(分野参考様式第13-1号)を出します。誓約する10の事項のうち、主なものは次のとおりです。
飲食料品製造業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(分野参考様式第13-1号)の見本数字は仮
| 特定技能所属機関 氏名又は名称 | 株式会社〇〇食品 | |
| 誓約事項1・2 | させる仕事 | ① |
| 誓約事項3 | 事業所の産業分類 | ② |
| 誓約事項4 | 派遣にしない | ③ |
| 誓約事項5〜8 | 協議会 | ④ |
| 誓約事項9・10 | 契約前の説明と経験の証明 | ⑤ |
- ①1号の人にさせる仕事が、飲食料品(お酒を除く)の製造・加工と安全衛生の確保であることを誓約します
- ②外国人が働く事業所が、前の章の表の産業を主にしていることを誓約します。協議会から求められたら、登記事項証明書・定款・売上高の分かる決算書類・保健所の営業許可などを出して、そのことを示します
- ③雇用契約で、外国人を労働者派遣の対象にしないことを決めておきます
- ④会社が協議会の構成員になり、協議会と農林水産省の調査に協力し、支援を任せるなら構成員の登録支援機関に任せることを誓約します
- ⑤雇用契約の前に、キャリアアップの計画を書面で渡して説明し、本人から求められたら実務経験を証明する書面を渡すことを誓約します