「特定技能」は、人手が足りない分野で、一定の技能と日本語の力を持つ外国人が働けるようにする在留資格(日本にいて働くための資格)です。外国人を受け入れるには、出入国在留管理庁(入管)の審査を受けて、この在留資格の許可を得る必要があります。
その申請は、海外にいる人を呼ぶ場合と、技能実習生や留学生のようにすでに日本にいる人を雇う場合で、名前も出し方も違います。海外から呼ぶときは「在留資格認定証明書」(日本で働ける条件を満たしていると、入管が入国の前に認めた証明書)の交付を会社が申請し、日本にいる人は今の在留資格を特定技能に変える「在留資格変更許可」を本人が申請します。
結論
- 海外から呼ぶ場合、入管の審査にかかる日数は標準処理期間で1か月〜3か月、2026年7月に許可が出た分の平均で64.1日です。そのあとに証明書を本人へ送り、査証(ビザ)を取り、入国する日数が足されます。
- 日本にいる人を雇う場合、変更の審査は標準処理期間で1か月〜2か月、平均で59.5日です。許可を受けた日から特定技能として働けるので、在留期限から逆算して申請してください。
- どちらも、申請の前に済ませることが4つあります。協議会への加入、市区町村への協力確認書、事前ガイダンス、健康診断です。支援を任せる登録支援機関は、支援計画書を申請に付けるので、申請の前に決めておきます。
- 働き始めてほしい日
- 4月1日
- 証明書が出てから、査証の申請・渡航・入国にかける日数
- 1か月
- 証明書が出てほしい日
- 3月1日
- 在留資格認定証明書の標準処理期間の上限
- 3か月
※ 日数は、逆算の仕方を見せるための仮のものです。
※ 平均は64.1日なので3か月より早く出ることもありますが、追加の資料を求められるとその分が延びます。健康診断は申請の日から遡って3か月以内に受けるので、この例では9月1日より後に受けます。
2つの道の違い
まず、採用したい人が今どこにいるかで、申請の種類が決まります。同じ特定技能でも、出す書類の一部と審査の日数が違います。
海外から呼ぶ(在留資格認定証明書)
- 会社の職員が、本人の代わりに入管に申請できる
- 手数料はかからない
- 証明書が出たら本人へ送り、本人が査証を取って入国する
- 証明書は交付の日から3か月で効力を失う
日本にいる人を雇う(在留資格の変更)
- 本人が、住んでいる場所を受け持つ入管に申請する
- 手数料は、許可される在留期間に応じた額
- 許可を受けた日から、特定技能として働ける
- 今の在留期限までに申請する
海外から呼ぶ場合の申請は、居住予定地・受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署に出します。郵送は受け付けていないので、窓口に持って行くか、オンラインで出します。
日本にいる人の変更の申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に出します。こちらもオンラインで出せます。
働き始めるまでの流れ
海外から呼ぶ場合の流れは、次のとおりです。試験に受かった人と雇用契約を結んでから申請を出し、証明書が出たら本人が査証を取って入国します。
日本にいる人を雇う場合は、この流れの「証明書の交付を申請」が「在留資格の変更を申請」に替わり、「証明書を送る」「査証」「入国」がなくなります。許可を受けた日から働けるので、海外から呼ぶ場合より短くすみます。
試験と雇用契約の順番は、基本は試験に合格した人と契約を結びます。契約してから受験することもできますが、合格しなければ許可は受けられません。合格の前に内定を出すことは禁止されていません。
技能実習2号を良好に修了した人は、試験が免除されます。良好な修了とは、技能実習を2年10か月以上修了し、技能検定3級などの実技試験に合格していることです。
働き始めるまでの日数は、手順ごとに次のように分かれます。入管の審査以外の日数は、会社と本人の準備の速さで決まります。
| 手順 | 日数の決まり方 |
|---|---|
| 試験 | 分野ごとの試験日 |
| 雇用契約・準備 | 会社と本人の準備 |
| 入管の審査 | 標準処理期間と平均日数 |
| 査証・渡航 | 本人の国の手続き |
入管の審査にかかる日数
入管は、申請の種類ごとの「標準処理期間」と、実際にかかった平均の日数を公表しています。平均の日数は令和6年10月許可分から1か月ごとに公表されていて、特定技能1号の2026年7月に許可が出た分は次のとおりです。
| 申請 | 標準処理期間 | 平均の日数 |
|---|---|---|
| 認定証明書の交付 | 1か月〜3か月 | 64.1日 |
| 在留資格の変更 | 1か月〜2か月 | 59.5日 |
| 在留期間の更新 | 2週間〜1か月 | 41.0日 |
平均の日数は、申請を受け付けてから許可を知らせるまでの日数で、追加の資料を求められた場合はその資料が出るまでの日数も入っています。不許可になった申請や取り下げた申請は入っていません。
- 変更と更新の平均は、許可を知らせる日(本人が入管に行く日)までの日数なので、実際の審査はこれより短いことがあります
- 例年、4月の就職時期に向けて申請が増え、働く在留資格の審査期間は長くなる傾向にあると入管は書いています
- 特定技能1号の数字は、外食業分野の申請を除いて計算されています(外食業分野は別に説明します)
申請を出したあと、窓口で出した申請は、審査の進み具合や結果の見通しを問い合わせても答えてもらえません。オンラインで出した申請は、在留申請オンラインシステムで自分で進み具合を確かめられます。
なので、入社日が決まっているなら、オンラインで出しておくと予定を立てやすくなります。登録支援機関の職員がオンライン申請をできるのは、支援の全部を任されている場合に限られます。
申請の前に済ませること
海外から呼ぶ場合も日本にいる人の場合も、雇用契約を結んでから申請を出すまでの間に、会社がすることが決まっています。順番を間違えると、申請を出し直すことになります。
- 1協議会に入る分野ごとの協議会の構成員に、申請の前に必ずなる
- 2協力確認書を市区町村に出す初めて受け入れる会社は、雇用契約のあと申請の前に出す
- 3事前ガイダンスをする働く条件などを本人が分かる言葉で、3時間程度
- 4健康診断を受けてもらう海外から呼ぶ人は申請の日から3か月以内に
協議会は、分野ごとに国の省庁が作る会で、受け入れる会社は申請の前に必ず構成員になることになっています。入り方は分野ごとの省庁のページで確かめます。
たとえば介護分野の協議会の入り方と、入会証明書に事業所を登録する決まりは、介護分野の特定技能で確かめられます。
協力確認書は、市区町村から地域の外国人向けの取り組みに協力を求められたら応じる、という書類です。本人が働く事業所のある市区町村と、本人が住む市区町村のそれぞれに出し、同じ市区町村なら1通ですみます。出した写しを入管に出す必要はなく、申請書に提出した日と提出先を書きます。
事前ガイダンスは、支援の1つ目で、申請の前に行う決まりです。中身と時間の目安は、義務的支援10項目の中身と委託先の確かめ方で確かめられます。
健康診断は、海外から呼ぶ人は申請の日から遡って3か月以内に受けます。日本にいる人は、申請の日から遡って1年以内に日本の医療機関で受けた診断書で足ります。
海外から呼ぶときの証明書と査証
証明書が出たら、本人に送って、本人が自分の国にある日本の大使館や領事館で査証を申請します。証明書を示して申請すると、入管の事前審査が済んだものとして扱われ、査証の審査は迅速に行われます。
- 証明書は、交付された日から3か月以内に上陸の申請をしないと効力を失います。査証の申請と渡航の日程は、この3か月の中に入れます
- 証明書は2023年3月17日から電子メールで受け取れます。会社が受け取ったメールを海外の本人に転送すれば、そのあとの手続きを速やかに進められます
- 受け入れを始めた日として入管が数えるのは、雇用契約の開始日ではなく、特定技能の上陸の許可を受けた日です
本人の国によっては、日本の手続きとは別に、その国の送出手続があります。入管の二国間の協力覚書のページには、申請に独自の書類が要る国と、相手国側の手続きがある国が載っています。
| 国 | 入管の申請に付ける書類 |
|---|---|
| カンボジア | 登録証明書 |
| タイ | 認証を受けた雇用契約書 |
| ベトナム | 推薦者表 |
タイの書類は、日本にいる技能実習2号・3号の修了者が変更を申請するときに要るものです。提出書類一覧表でも、対象の国籍は証明書の交付申請がカンボジア、ベトナム(2026年10月現在)、変更の申請がカンボジア、タイ、ベトナム(2026年10月現在)と書かれています。
相手国側の送出手続がある国の例は、次のとおりです。これらは相手国の出国のための手続きで、日本の申請の書類ではありませんが、済んでいないと本人が出国できないことがあります。
- フィリピン:会社が在日の大使館・総領事館の移住労働者事務所(MWO)に書類を出し、本国の移住労働者省(DMW)に登録される
- インドネシア:本人が査証の申請の前に、政府の海外労働者管理システム(SISKOP2MI)にオンラインで登録してID番号を取る
- ミャンマー:本人が労働・入国管理・人口省に海外労働身分証明カード(OWIC)を申請する
- ラオス:本人が認定送出機関を通じて、労働社会福祉省から送出許可証を取る
協力覚書を結んでいない国の人も受け入れられます。本人の国の手続きは、入管のページの「各国の連絡先」に載っている窓口に聞いてください。
日本にいる人を雇うときの変更
変更の申請は、変更の理由が生じたときから在留期間の満了日までの間に出します。元の在留資格の活動をしていない期間が続くと在留資格を取り消されることがあるので、雇うと決めたら速やかに申請します。
2026年10月1日からは、変更の手数料が、許可される在留期間に応じた額になりました。手数料は許可を受ける本人が納めます。
| 許可される在留期間 | 窓口の手数料 |
|---|---|
| 3月超6月以下 | 18,000円 |
| 1年 | 33,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 |
特定技能1号の在留期間は、法務大臣が個々に指定する3年を超えない期間です。在留できる期間は通算で原則5年以内なので、技能実習から移る人は残りの年数も確かめておきます。
変更の申請では、本人の税と保険の書類が要ります。入管の留学生向けのページでは、国税・地方税・国民健康保険・国民年金の納付の状況が分かる資料を出すことになっていて、未納が分かると入管が納付の指導をすることになり、審査に時間がかかります。
- 直近1年度分の個人住民税の納税証明書と課税証明書
- 課税証明書と同じ年の給与所得の源泉徴収票の写し
- 国民健康保険に入っている人は、保険料の納付証明書
- 国民年金に入っている人は、被保険者記録照会か、前々月までの24か月分の領収証書の写し
アルバイト先が複数あった留学生は、確定申告が済んでいるかを先に聞いてください。地方の入管には留学生の就職支援の専用窓口があり、申請書類の事前点検もしています。
時期にも気をつけてください。留学生の卒業後の移行は、卒業月の3月から4月に申請が集中するので、入管は早めの申請を求めています。技能実習生は実習計画が終わったあとは働けないので、外食業分野の案内では、働き始める予定日の2か月以上前に変更を申請するよう書かれています。
2027年4月からは、技能実習に代わる育成就労が始まります。育成就労から特定技能1号へ移るときの試験と手続きは、育成就労と特定技能・登録支援機関の関係で確かめられます。
提出書類一覧表の見方
入管に出す書類は、入管庁の「提出書類一覧表」でそろえます。一覧表は2026年10月9日改定で、第1表(本人に関する書類)、第2表の1〜3(会社に関する書類)、第3表(分野に関する書類)の3つに分かれています。
「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留資格認定証明書交付申請用)の見本数字は仮
| 申請人の氏名 | 〇〇 〇〇 | ① |
| 特定技能所属機関の名称 | 株式会社〇〇 | ① |
| 在留資格認定証明書交付申請書 | ○ | ② |
| 1号特定技能外国人支援計画書 | ○ | ③ |
| 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書 | △ | ③ |
| 第2表の1~3のいずれか | 1つ | ④ |
| 第3表の1~18のいずれか | 1つ | ⑤ |
- ①表紙です。外国人1人ごとに作り、申請人の氏名と、受け入れる会社(特定技能所属機関)の名称を書きます
- ②「○」は必ず出す書類、「△」は当てはまるときに出す書類です。申請書に貼る写真は、申請前6か月以内に撮った縦4cm×横3cmで、裏に氏名を書きます
- ③支援計画書(参考様式第1-17号)は本人の署名と本人が分かる言葉での記載が要ります。支援を全部登録支援機関に任せるときは、委託契約の説明書(第1-25号)も付けます
- ④会社の書類です。同じ年度にすでに特定技能の外国人を受け入れている会社は要りません。一定の条件を満たす会社は、書類の少ない第2表の1を使えます
- ⑤分野ごとの誓約書などです。18の分野から自社の分野の表を選びます