「建設分野」は、特定技能(人手が足りない分野で、一定の技能と日本語の力を持つ外国人が働ける在留資格)の分野の1つです。建設現場で土木・建築・設備の仕事をしてもらうためのもので、国土交通省が受け持っています。
この分野で2024年度から2028年度の末までの5年間に受け入れる特定技能1号の人数は、7万6,000人が上限とされています。ほかの分野と大きく違うのは、入管に在留の申請をする前に、受け入れる会社が国土交通省から「建設特定技能受入計画」(誰を、どんな仕事で、いくらの給料で雇うかを書いた計画)の認定を受ける決まりがあることです。
結論
- 建設分野では、入管の前に、国土交通省の「建設特定技能受入計画」の認定が要ります。申請する前に、建設業許可・建設キャリアアップシステムの事業者登録・JACへの加入の3つをそろえておく必要があり、認定が出ないと入管の許可も出ません。
- 給料は、同じ技能を持つ日本人と同じ額以上にし、仕事の多い少ないで変わらない月給制で払います。ほかの社員が日給制でも、特定技能の人には月給制が要り、毎年の昇給も決めておきます。
- 受け入れられる人数は、社会保険に入っている常勤の職員の数までです。特定技能1号の人と技能実習生は、この職員の数に入りません。受け入れたあとは、FITSの巡回訪問と、本人の受入れ後講習があります。
- 常勤の役員(社長)
- 1人
- 日本人の正社員
- 4人
- 永住者の外国人の正社員
- 1人
- パートの社員・技能実習生(数えない)
- 0人
※ 人数は、数え方を見せるための仮のものです。この会社にはほかにパートの社員が1人と技能実習生が3人いますが、上限の数には入れません。
※ 特定技能1号の人がまだいない会社の例です。すでにいる場合は、その人も6人の中に入ります。
受け入れられる仕事と試験
建設分野の仕事は、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの区分に分かれています。どの区分でも、指導する人の指示や監督を受けながら作業をする仕事です。
| 区分 | 仕事の中身 |
|---|---|
| 土木 | 土木施設をつくる・直す |
| 建築 | 建物の新築・改修 |
| ライフライン・設備 | 電気・水道・ガスなど |
- 作業の準備・運搬・片付けのように、日本人の作業員もふだんしている関連の仕事を、ついでに頼むことはできます。ただし、関連の仕事だけをさせることは認められていません。
- 建設工事に当たらない除染などの仕事を主にさせるための受け入れは、建設分野の対象になりません。
特定技能1号になるには、建設分野特定技能1号評価試験か技能検定3級と、日本語の試験(国際交流基金の日本語基礎テストか、日本語能力試験のN4以上)に合格する必要があります。区分に合った職種の技能実習2号を良好に修了した人は、どちらの試験も免除されます。なお、2026年1月23日の運用方針では、日本語の水準が「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上と書かれているので、受け入れる前に新しい案内も確かめてください。
入管の前にそろえること
建設分野で特定技能1号の人を雇うときは、試験に合格して海外から来る人も、技能実習を終えた人も、ほかの会社から転職してくる人も、新しく雇用契約を結ぶたびに国土交通省の認定が要ります。認定を申請する前に、会社の側でそろえておくものが3つあります。
- 建設業許可:建設業法の許可を受けていることが条件です。外国人にさせる仕事と許可の業種が一致している必要はなく、3つの区分に入る工事ならさせられます。
- 建設キャリアアップシステム(CCUS):建設で働く人の資格や、現場で働いた日を登録して記録する仕組みです。会社は「事業者ID」を取ってからでないと受入計画を申請できず、登録を申請している途中では申請できません。
- JAC(建設技能人材機構):建設分野の外国人の受け入れのために、建設業の団体や建設会社が会員になっている機関です。JACの正会員になっている建設業の団体に入って間接的に所属するか、JACの賛助会員(会社が直接入る会員)になります。こちらも、加入を申し込んでいる途中では受入計画を申請できません。
このほか、申請の日の前5年以内に建設業法の監督処分(指示・営業停止・許可の取消し)を受けていないことも条件です。また、日本人を雇う努力をしていることを示すために、ハローワークで求人したときの求人票(申請日から1年以内のもの)を出します。
認定までの期間
受入計画は、国土交通省の「外国人就労管理システム」から原則オンラインで申請し、審査と認定は各地方整備局などが行います。申請できる時期と、かかる日数の見込みは次のとおりです。
| 決まり・見込み | 時期・日数 |
|---|---|
| 計画を申請できる | 働き始めの約6か月前から |
| 国の審査の見込み | 1か月半〜2か月程度 |
| 関東地方整備局の見込み | 3か月〜3か月半程度 |
| 入管に申請する目安 | 働き始めの2〜3か月前 |
- 国の見込みの1か月半〜2か月は、書類の直し(補正)にかかる日数を含まない数字です。国土交通省は、地方によってはさらに数か月かかることがあると書いています。
- 技能実習から続けて特定技能に移る人は、技能実習計画が終わる日の6か月前から申請できます。
- 受入計画を申請したあとなら、認定の前でも入管に申請を出せます。ただし、入管の許可には認定証の写しが要るので、認定が出るまで入管の許可も出ません。
申請の前に、給料の額と昇給の決め方を次の章の決まりに照らしておくと、基準に満たないことによる差し戻しを防げます。入管の側の審査日数と書類の順番は、特定技能の外国人を受け入れるまでの流れと期間で確かめられます。
給料の決まり
特定技能の外国人には、同じ技能を持つ日本人と同じ額以上の給料を安定して払い、技能が上がるのに合わせて昇給することを、雇用契約に書いておく決まりです。試験や技能検定3級に合格した人は、3年か5年くらいの経験がある人として給料を決めます。
国土交通省は、申請された給料を次の相手と比べて審査し、低いと判断すると引き上げるよう指導することがあります。指導を受けたら、給料を変えたうえで、本人への説明と契約をやり直すことになります。
- 同じ事業所で、同じくらいの技能を持つ日本人の給料
- 同じ地域と全国の、同じか似た職種の給料の水準
- 技能実習などから続けて雇う人なら、これまでの給料(技能実習の最後の年の給料を上回る額にします)
- すでにいる特定技能1号の人や技能実習生の給料
申請には、比べる日本人の賃金台帳と、その人の経験年数が分かる書類を付けます。同じ技能の日本人がいない会社は、同じ職種の日本人と比べ、それもいなければ、就業規則で3〜5年の経験者に払う額や、地域の平均賃金などで説明します。
認定を受ける月の基本の給料には、基本給のほかに、毎月決まって払う手当を入れられます。入れられるかどうかは、条件なしで毎月同じ額を払うかで分かれます。
入れられる
- 技能手当・職務手当・職能手当
- 資格手当(持っている資格に払う)
- 家族手当・通勤手当・住宅手当(全員に一律の額)
入れられない
- 皆勤手当
- 出勤日数で変わる現場手当
- 「資格を取ったら」払う資格手当
- 固定残業手当・みなし残業代
- 昇給は、勤続年数だけを条件にした毎年の昇給などが必須です。1年あたりの月の給料の上がり幅が1,000円未満だと、昇給とは認められず認定されません。
- 月の給料を、決まった1か月の労働時間(所定労働時間)で割った額が、地域の最低賃金(または全国の平均)の1.1倍を下回ると、認定されません。
- ボーナス・手当・退職金も日本人と同じように出し、特定技能の人だけが不利になる条件はつけられません。
昇給の1,000円と、最低賃金の1.1倍の決まりは、2022年6月1日以降の申請から当てはめられています。
月給制と休んだ日の扱い
特定技能の外国人には、仕事の多い少ないで給料が変わらない月給制で、決めた額を毎月払います。ここでの「月給制」は、基本給と毎月決まって払う手当と残業代の合計を、1か月単位で決めて払う形のことです。
雇用契約を結ぶ前には、国が決めた様式(告示様式第2)を使い、給料や仕事の中身を、本人が十分に分かる言葉で説明します。日本語で説明するなら、日本の高校を出ている、日本語の試験でN2以上に合格しているなどの理由を申請書に書きます。技能実習を終えているというだけでは、理由として認められません。
人数の上限の数え方
建設分野では、特定技能1号の人の数が、会社の常勤の職員の数を超えてはいけない決まりです。建設で働く人はいろいろな現場に出るので、支援が要る1号の人を指導し育てるには、一定の数の常勤の職員が要るからです。
数えるのは、社会保険(建設国保を含む)に入っている人のうち、報酬が一定額以上の常勤の役員と、パートなど短時間で働く人ではない社員です。申請には、常勤の職員の数を書いた文書に、社会保険の加入が分かる書類として、日本年金機構からの標準報酬決定通知書の写しを付け、氏名の左に印を書き込みます。
健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書に印を付けた見本(例)数字は仮
| 被保険者氏名 | 〇〇 太郎(社長) | ① |
| 被保険者氏名 | 〇〇 花子 | ① |
| 被保険者氏名 | 非 〇〇 一郎 | ② |
| 被保険者氏名 | パ 〇〇 さくら | ② |
| 被保険者氏名 | 〇〇 アン(永住) | ③ |
| 被保険者氏名 | 実 〇〇 ミン | ④ |
| 被保険者氏名 | 特 〇〇 リー | ④ |
- ①印の無い日本人は、常勤でフルタイムの人です。数に入れます
- ②「非」は非常勤の役員、「パ」はパートなど短時間で働く人の印です。数に入れません
- ③外国人は全員、氏名の横に在留資格を書きます。「永住」「定住」「技人国」(技術・人文知識・国際業務)などで常勤のフルタイムの人は、数に入れます
- ④「実」は技能実習生、「特」は特定技能へ移る予定の特定活動の人の印です。特定技能の人と同じく、数に入れません