「工業製品製造業分野」は、特定技能(人手が足りない分野で、一定の技能と日本語の力を持つ外国人が働ける在留資格)の分野の1つです。金属の加工や機械・電気電子機器の製造、プラスチック・印刷・繊維などの工場で働いてもらうためのもので、経済産業省が受け持っています。
前は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」という名前で、2024年9月30日に今の名前に変わりました。2024年度から2028年度の末までに受け入れる特定技能1号の人数は19万9,500人が上限とされていて、2026年6月末には6万2,033人の1号の人が働いています。
結論
- 受け入れられるかは、外国人が働く事業所(工場など1か所ごと)の産業と、させる仕事の区分の両方で決まります。事業所の産業は、直近1年間に、対象の分類の製品の出荷額(加工賃の収入を含む)があるかで判断します。
- 在留の申請の前に、受け入れる事業所ごとにJAIM(工業製品製造技能人材機構)に入り、名簿に載る必要があります。申請から名簿に載るまで平均2〜3か月かかり、年会費は中小企業で6万円か6万3,000円です。
- 派遣での受け入れはできず、雇用契約を結んでいない関連会社への異動や、出向もできません。繊維工業・印刷・こん包の事業所には、このほかにも条件があります。
- 自動車の部品(分類3113・対象)の出荷額
- 年2,000万円
- 建具に付ける金具(分類2429・対象外)の出荷額
- 年6,000万円
※ 金額は、判定の仕方を見せるための仮のものです。
※ 出荷額は金具のほうが大きいのですが、対象の分類の製品の出荷額があるので、この工場は対象になります。ただし、受け入れた人に働いてもらえるのは、自動車の部品をつくる工程だけです。
対象になる事業所
外国人が働く事業所は、日本標準産業分類(国が決めた産業の分け方)の、決まった産業を行っている必要があります。1号の人を受け入れられるのは76分類、2号の人は46分類で、主なものは次のとおりです。
| 分類の番号 | 産業 | 2号 |
|---|---|---|
| 中分類11 | 繊維工業 | 対象外 |
| 中分類15 | 印刷・同関連業 | 対象外 |
| 中分類18 | プラスチック製品 | 対象 |
| 中分類19 | ゴム製品 | 対象外 |
| 小分類225・235 | 鉄・非鉄の素形材 | 対象 |
| 小分類245 | 金属素形材製品 | 対象 |
| 中分類25〜27 | 機械器具 | 対象 |
| 中分類28〜30 | 電子部品・電気機械など | 対象 |
| 小分類311 | 自動車・同附属品 | 対象 |
| 小分類484 | こん包業 | 対象 |
表は一部で、全部の分類は、JAIMの対象となる産業分類一覧で、工場でつくっている製品の名前から探せます。機械器具のうち医療用機械器具や武器のように、同じ番号の中で外れるものもあるので、番号だけで決めずに一覧で製品を探してください。
対象かどうかは、会社全体ではなく、外国人が働く事業所ごとに確かめます。決め手は、その事業所で、直近1年間に対象の分類の製品の「製造品出荷額等」が出ているかです。
- 1つの工場でいくつもの製品をつくっているときは、主な事業でなくても、対象の分類の製品の出荷額があれば対象です。ただし、受け入れた人が働けるのは、その製品の製造工程だけです。
- 製造品出荷額等には、ほかの会社から預かった材料を加工して受け取る加工賃も入ります。同じ会社のほかの工場へ引き渡した分も、出荷として数えます。
- 2026年6月1日に経済産業省の告示が施行されて、対象の分類が今の数に広がりました。前の資料や記事を見ているときは、日付を確かめてください。
飲食料品製造業分野では、事業所が「主として」何をしているかで判断します。食べ物や飲み物をつくる工場の扱いは、飲食料品製造業分野の特定技能で確かめられます。
受け入れられない仕事
工場の中の仕事でも、受け入れられないものがあります。JAIMの受入れFAQで示されている例を、受け入れられる仕事と並べると次のとおりです。
受け入れられる
- 対象の分類の製品をつくる工程(主な事業でなくてもよい)
- ほかの会社の材料を加工して、加工賃を受け取る仕事
- 日本人もしている部品の運搬・前後の工程・清掃などを、ついでにすること
受け入れられない
- 中古の機械を直すための塗装や溶接(修理業になる)
- 建設現場での溶接(建設業の収入になる)
- 自動車の組立てライン(業務区分に「組立て」の仕事が無い)
- 運搬や清掃などの関連の仕事だけをさせること
フォークリフトの運転や清掃のような関連の仕事は、同じ仕事の日本人がふだんしている範囲で、ついでに頼むことはできます。迷う場合は、JAIMに入会を申し込む前に、JAIMの相談窓口か経済産業省に問い合わせると確実です。
17の業務区分
外国人にさせる仕事は、業務区分のどれかに入っている必要があります。2026年に7区分が加わって、1号は17区分になり、2号は今も3区分だけです。
1号と2号の両方
- 機械金属加工
- 電気電子機器組立て
- 金属表面処理
1号だけ
- 紙器・段ボール箱製造、印刷・製本
- 紡織製品製造、縫製、かばん製造
- コンクリート製品製造、生コンクリート製造
- 陶磁器製品製造、定形・不定形耐火物製造
- 電線・ケーブル製造、プレハブ住宅製品製造、家具製造、ゴム製品製造、RPF製造
前の名前のころの試験(鋳造・機械加工・溶接など)に合格した人は、今の「機械金属加工」などの試験に合格したものとみなされます。どの産業の工場でどの区分の人を受け入れるかの目安は、協議会が出している「想定する組合せ」の表で見られます。
- 表に○が無い組合せでも、工場の実態や作業の中身によっては受け入れられることがあります。
- 受け入れる会社ごとの人数の上限はありません。ただし、支援計画どおりに支援できることが前提です。人数に上限がある建設分野の数え方は、建設分野の特定技能で確かめられます。
JAIMに入る手順
JAIM(一般社団法人工業製品製造技能人材機構)は、経済産業大臣の登録を受けた団体で、受け入れる事業所の入会の審査や、技能の試験の運営をしています。受け入れる会社は、在留の申請の前に、受け入れる事業所(工場)ごとにJAIMの賛助会員になる必要があります。
- JAIMは会員証を出していません。在留の申請には、JAIMのホームページの名簿のうち、自社の名前が載ったページを印刷して付けます。
- 「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会(協議会)」は今もありますが、構成員は経済産業省・関係する省庁・JAIM・自治体や経済団体などです。受け入れる事業所はJAIMに入り、JAIMが代表して協議会に入っているので、会社が協議会に申し込むのではありません。
- 休会の制度はありません。退会したあとでまた受け入れるときは、もう一度入会の審査を受けます。
年会費は事業所ごとにかかり、会社の大きさと、JAIMの正会員の業界団体(日本鋳造協会や全日本プラスチック製品工業連合会などの46団体)に入っているかで変わります。年度の途中で入ると、会費の請求が届いた月によって月割りになります。
- 1か所目の工場(10月の月割り)
- 31,500円
- 2か所目の工場(10月の月割り)
- 31,500円
※ 工場の数と月は仮のものです。31,500円は、JAIMの会費規程の「10月・正会員団体に未所属・中小企業」の額です。
※ 次の年度からは、1か所につき1年63,000円です(正会員の団体に入っている中小企業なら1年60,000円)。
※ 1〜3月に入会するときは、その年度の月割りの分と、次の年度の1年分を合わせて払います。
会費は、どんな理由があっても、外国人本人に負担させてはいけません。また、受け入れる会社は、生産性を上げる取組と国内で人を確保する取組をしていることについて、JAIMの確認を受けます。
海外から呼ぶ場合と日本にいる人を雇う場合の申請の順番と、入管の審査にかかる日数は、特定技能の外国人を受け入れるまでの流れと期間で確かめられます。
繊維・印刷・こん包の上乗せ
繊維工業・印刷・こん包業の事業所で1号の人を受け入れるときは、ほかの産業の条件に加えて、次の条件も満たす必要があります。満たさないと、受け入れられません。
繊維工業
- 国際的な人権基準に合った事業
- 勤怠管理(出勤や労働時間の記録)を電子化
- パートナーシップ構築宣言を出している
- 特定技能の人の給料は月給制
印刷・同関連業
- 決められた4つの業界団体のどれかに入っている
こん包業
- 日本梱包工業組合連合会に入っている
印刷の4つの団体は、全日本印刷工業組合連合会、全国グラビア協同組合連合会、全日本製本工業組合連合会、全日本金属印刷工業協同組合連合会です。印刷とこん包は、先に団体に入って会員証の写しをもらい、JAIMに入る手続きのときに出します。
これらの条件は、JAIMの会員でいる間ずっと続けます。毎年の会員資格の更新のときにも確かめられ、守られていないと分かると、JAIMから除名されることがあります。
試験と日本語
1号になるには、業務区分に合った技能の試験と、日本語の試験の両方に合格する必要があります。技能の試験は、JAIMが行う「製造分野特定技能1号評価試験」などです。
業務区分に関連する職種の技能実習2号を良好に修了した人は、2027年4月1日以降も当面の間、技能と日本語の試験が免除されます。関連しない職種の技能実習2号を修了した人も、技能の試験に合格すれば、日本語の試験は受けなくてかまいません。
2号は、3つの区分だけが対象です。国内の製造の現場で3年以上働いた経験があり、2号の試験(実技80分・正答率60%以上・受験料15,000円)とビジネス・キャリア検定3級、または技能検定1級に合格して、日本語はJLPTのN3以上が要ります。
2号を目指す人には働いた経験の証明が要るので、会社は、本人から求められたら、自社で働いた経験を証明する書面を渡す決まりです。経済産業省は、退職した人から求められた場合も対応するよう呼びかけています。
受け入れたあとに守ること
雇用契約の変更の届出の様式と、14日以内という期限の数え方は、特定技能の届出一覧で確かめられます。
受け入れたあとは、次のことも求められます。
- 前と違う仕事をさせるときなどは、労働災害を防ぐために、十分な訓練や安全衛生教育を含む研修をします。
- 経済産業省やその委託先から、報告や資料を求められたり、現地やオンラインで調査を受けたりしたら、協力します。
- ほかの会社で働いている外国人を、積極的に引き抜いて雇うことは、自粛するよう求められています。ただし、本人が賃金や働く環境を比べて、自分の意思で転職することは止められません。
本人が転職するときに、前の会社と新しい会社がすることの順番は、特定技能の外国人が転職・退職するときで確かめられます。
受け入れの人数が上限の19万9,500人を超えそうになると、経済産業大臣が、海外から呼ぶための在留資格認定証明書の交付を一時的に止めるよう法務大臣に求めることになっています。外食業分野では実際に止まっているので、予定を立てるときは経済産業省と入管庁のお知らせも見ておくと安心です。
支援を任せる登録支援機関
工業製品製造業分野の運用要領で、JAIMの構成員になるよう求められているのは、受け入れる会社です。そのうえで、支援を任せる登録支援機関が、工業製品製造業の受け入れに慣れているかを確かめます。
登録支援機関の一覧に載せている33機関の公式サイトを2026年10月18日に開き、工業製品製造業への対応を書いているかを確かめると、次のとおりでした。
- 数えたのは、支援の対応分野や支援の実績に、工業製品製造業(製造業や素形材などの前の名前を含む)をはっきり挙げている機関です。「全分野に対応」とまとめて書くだけの機関、在留の申請や相談の対象として分野を並べているだけの機関、飲食料品製造業だけを挙げている機関は数えていません。
- 「JAIMに触れている」は、JAIMへの入会の手伝いや、JAIMの年会費がかかることを公式サイトに書いている機関です。
公式サイトの書き方だけでは、支援の中身や慣れ具合までは分かりません。どの機関にも「工業製品製造業の特定技能の人を、今何人支援していますか。JAIMの入会の書類づくりと、生産性を上げる取組の報告の手伝いは、委託料に入っていますか」と聞いておくと確実です。
各機関の工業製品製造業への対応は、登録支援機関の一覧の各機関のページで見られます。相手が入管庁に登録されているかは登録支援機関が本当に登録されているかの確かめ方で、委託料の見積もりの読み方は登録支援機関の委託料の相場と見積書の読み方で確かめられます。
決める前に立ち止まる場面
2027年4月からは、技能実習に代わる育成就労が始まり、工業製品製造業分野も対象になります。育成就労と特定技能の関係は、育成就労と特定技能・登録支援機関の関係で確かめられます。
今日やること
- 1工場の製品を書き出す受け入れたい工場ごとに、直近1年間に出荷した製品(加工賃をもらう仕事を含む)を書き出し、JAIMの「対象となる産業分類一覧」で分類の番号を探す
- 2JAIMの入会を始める名簿に載るまで平均2〜3か月かかるので、在留の申請をしたい時期から逆算して、JAIMのポータルサイトから受け入れる事業所ごとに早めに申し込む
- 3委託先に聞く登録支援機関の一覧で工業製品製造業に対応する機関を選び、「工業製品製造業の特定技能の人を何人支援していますか。JAIMの入会の書類づくりは委託料に入っていますか。1年目の総額の見積もりをもらえますか」と聞く