特定技能の外国人が転職・退職するとき|前の会社の届出(入管14日・ハローワーク10日)・会社都合のときの転職支援・本人への説明・新しい会社の申請・引き抜きの注意
特定技能の外国人は、同じ仕事の範囲の中なら、会社を替えて(転職して)日本で働き続けることができます。そのときは、前の会社・本人・新しい会社のそれぞれに、出入国在留管理庁(入管)やハローワークへの手続きがあります。
いちばん大事なのは、新しい会社で働けるのが、本人が入管から在留資格の変更の許可を受けたあとだということです。また、会社の都合で辞めてもらう場合は、前の会社に、次の会社を探す手伝い(転職支援)をする決まりが加わります。
結論
- 別の会社に移るには、本人が在留資格の変更の許可を受ける必要があり、許可が出るまでは新しい会社で働けません。移れるのは、同じ業務区分(分野の中の仕事の区分)の中か、試験などで技能の共通性が確かめられている区分の間です。
- 前の会社は、契約が終わった日から14日以内に入管へ契約終了の届出(参考様式第3-1-2号)を出し、ハローワークにも離職の届出をします。会社の都合で辞めてもらうときは、受入れ困難の届出(第3-4号)を先に出し、次の受け入れ先が決まるまで転職支援を続けます。
- 新しい会社は、分野の協議会への加入、支援計画、事前ガイダンスを済ませてから、本人に変更を申請してもらいます。
仮の例:9月30日に自分の都合で退職し、11月1日から別の会社で働く予定の人仮の数字- 本人が在留資格の変更を申請する日の目安
- 9月1日
- 前の会社の入管への届出(第3-1-2号)の期限
- 10月14日
- 前の会社のハローワークへの届出の期限(雇用保険に入っている人)
- 10月10日
- 本人の入管への届出(契約の終了)の期限
- 10月14日
新しい会社で働き始められる日変更の許可が出た日から
※ 日付は、段取りを見せるための仮のものです。変更の審査の標準処理期間は1か月〜2か月なので、11月1日に間に合うよう、上限の2か月で逆算しています。入管への届出は9月30日から14日以内、ハローワークへの届出は10月1日から数えて10日以内として期限を出しています。
※ 自分の都合で辞めるので、受入れ困難の届出(第3-4号)は要りません。退職してから許可が出るまでの間、本人はどちらの会社でも働けないので、退職日と申請日を本人と一緒に決めておくと安心です。
転職できる範囲
特定技能の在留資格の許可を受けると、在留カードと一緒に「指定書」という紙が渡されます。指定書には、本人が働ける会社と分野が書かれています。
指定書の見本(特定技能1号)数字は仮
| 本邦の公私の機関 氏名又は名称 | 〇〇〇〇株式会社 | ① |
| 住所 | 〇〇県〇〇市〇〇町1-1 | ① |
| 特定産業分野 | 〇〇 | ② |
- ①今働いている会社です。ここに書かれた会社を変えるときは、本人が在留資格の変更の許可を受けます
- ②今の分野です。別の分野に変えるときも、在留資格の変更の許可が要ります。新しい会社は、採用の前に、本人の指定書とこの分野を見せてもらいます
転職が認められるのは、同じ業務区分の中か、試験などで技能の共通性が確かめられている業務区分の間です。業務区分は、分野の中をさらに仕事の中身で分けたもので、たとえば工業製品製造業分野には17の区分があります。
同じ業務区分の中で移る場合と、別の業務区分・分野へ移る場合同じ業務区分の中
- ・今の試験の合格のまま移れる
- ・本人が在留資格の変更を申請する
別の業務区分・別の分野
- ・移る先の区分の技能を、試験などで確かめる
- ・本人が在留資格の変更を申請する
分野ごとの業務区分と試験は、工業製品製造業分野や飲食料品製造業分野の記事で確かめられます。また、雇用契約が終わっても、本人はすぐに帰国しなければならないわけではなく、転職して変更の許可を受ければ、続けて日本にいられます。
3者の手続きと期限
転職では、前の会社・本人・新しい会社のそれぞれに手続きがあります。主なものを順に並べると、次のとおりです。
入管への14日は、契約が終わった日(新しい契約は結んだ日)から数えます。ハローワークへの10日は、雇用保険に入っている人の期限で、離職の翌日から数え、雇用保険に入っていない人は離職した月の翌月末日までです。
- 本人の入管への届出は、電子届出システムで、24時間いつでもオンラインで出せます。会社の都合で辞めてもらうときは、本人も届け出る必要があることを伝える決まりなので、退職の手続きのときに一緒に伝えてください。
- 前の会社が辞めた人を同じ会社でもう一度雇うときは、変更の申請ではなく「新たな契約の届出」を出します。別の会社と契約するときは、変更の申請が要ります。
前の会社がすること
前の会社が入管に出す届出は、辞め方で変わります。自分の都合で辞める場合と、会社の都合で辞めてもらう場合を比べると、次のとおりです。
前の会社が入管に出すもの(自分の都合で辞める場合と、会社の都合で辞めてもらう場合)本人が自分の都合で辞める
- ・契約が終わったら、14日以内に契約終了の届出(第3-1-2号)
- ・受入れ困難の届出(第3-4号)は要らない
会社の都合で辞めてもらう
- ・契約を終える前に、受入れ困難の届出(第3-4号)
- ・経緯の説明書(第5-11号)に、転職支援の内容を書く
- ・契約が終わったら、14日以内に契約終了の届出(第3-1-2号)
受入れ困難の届出の14日は、実際に辞めた日ではなく、辞めることになる原因が生じた日から数えます。支援を登録支援機関に全部任せていて、退職で委託契約も終わるときは、第3-1-2号の「A 契約の終了」の c 欄を書けば、委託契約の終了の届出(第3-3-2号)は要りません。
それぞれの様式と14日の数え方の細かい決まりは、特定技能の届出一覧で確かめられます。
ハローワークへの届出は、外国人を雇っている全ての事業主の義務で、届出を怠ったり、うその届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。雇用保険に入っている人なら、ふだんの雇用保険の資格喪失届を出せば、この届出をしたことになります。
会社都合のときの転職支援
本人のせいではない理由で契約が終わるときは、前の会社は、本人が特定技能で働き続けたいかを確かめます。働き続けたいと答えたら、次の受け入れ先を探す手伝い(転職支援)をしなければなりません。
会社の都合で辞めてもらうときの転職支援の流れ有給休暇と手続きの情報求職活動の休みと、国保・年金の案内
↓→
4つの支援のどれかに加えて、求職活動のための有給休暇を与えることと、国民健康保険や国民年金など、辞めるときの手続きの情報を伝えることは、どちらも必ず行います。4つの支援は、次のとおりです。
②のハローワークは、事業主から出された外国人雇用状況の届出をもとに、離職した外国人の再就職を支援しています。②を選ぶときは、本人と一緒にハローワークに行き、特定技能で働ける次の受け入れ先を探す手伝いをします。
- 支援を登録支援機関に全部任せているときは、転職支援も委託先の仕事です。委託先は、転職支援の内容を特異事案報告書(第4-3号)に書き、転職支援実施報告書(参考様式第5-12号)も作って、入管に出します。
- 支援を自社でしている会社は、転職支援の内容を、支援計画の実施困難の届出書(第3-7号)に書いて出します。倒産などで支援ができなくなりそうなときに備えて、代わりに支援する人(登録支援機関や関連会社など)を確保しておく決まりです。
転職支援は、支援の10項目のうちの1つです。ほかの9項目と、委託先から受け取る記録の見方は、義務的支援10項目の中身と委託先の確かめ方で確かめられます。
本人に伝えること
会社の都合で受け入れを続けられなくなったときは、本人が日本での立場を守れるよう、次のような情報を伝えます。伝えたかどうかは、受入れ困難の届出に付ける説明書(第5-11号)に書く欄があります。
また、契約の途中で本人が帰国することになるときは、意に反して帰国する必要はないことを説明し、帰国する意思があるかを書面でしっかり確かめます。説明は、本人が十分に分かる言葉で行ってください。
退職が決まったあとの住まいの扱いは、特定技能の外国人の住まいの用意の「離職が決まったあとの住まい」で確かめられます。
新しい会社がすること
ほかの会社で働く特定技能の人を採るときは、本人の変更の申請の前に、会社の側でそろえておくことがあります。協議会への加入や事前ガイダンスは、海外から呼ぶ場合と同じく、申請の前に済ませる決まりです。
転職してくる人を受け入れるまでの流れ指定書と在留カードを見る分野・業務区分・在留期限
↓→支援計画と事前ガイダンス委託先もこの時に決める
↓→
変更の審査にかかる日数は、標準処理期間で1か月〜2か月、2026年7月に許可が出た特定技能1号の平均で59.5日です。審査の間、本人は前の会社でも新しい会社でも働けないことがあるので、入社日は許可が出てからの日付で約束しておくと安心です。
- 事前ガイダンスは、変更の申請の前に行う決まりで、転職してくる人にも行います。支援を任せる登録支援機関は、支援計画書を申請に付けるので、申請の前に決めておきます。
- 建設分野では、転職してくる人を雇うときも、新しく国土交通省の認定を受けます。工業製品製造業分野では、受け入れる工場がJAIMの名簿に載っている必要があります。分野ごとの準備は、建設分野の特定技能と工業製品製造業分野の特定技能で確かめられます。
- 外食業分野では、海外から呼ぶ申請は止まっていますが、外食業分野で働いている人の転職は審査されています。今の扱いは、外食業分野の特定技能で確かめられます。
申請の書類と、申請の前に済ませる4つのこと(協議会・協力確認書・事前ガイダンス・健康診断)の順番は、特定技能の外国人を受け入れるまでの流れと期間で確かめられます。
引き抜きと職業紹介の注意
本人には転職の自由があり、本人が賃金や働く環境を比べて自分の意思で転職することは、前の会社も止められません。一方で、ほかの会社で働いている人を、会社の側から積極的に引き抜くことは、たとえば工業製品製造業分野では経済産業省が自粛を求めています。
また、雇用契約が結ばれるようにあっせんする人がいる場合は、その人が職業紹介の許可や届出を受けた事業者であることが、受け入れる会社の基準になっています。なので、紹介を頼むときは、相手に職業紹介事業の許可番号か届出の番号を聞いてください。
登録支援機関の一覧に載せている33機関の公式サイトの料金の欄を見ると、次のとおりでした。
掲載33機関の料金の欄で、紹介と転職支援を確かめた結果
- 料金の欄に紹介料が無い機関でも、人材紹介をしていないとは限りません。逆に、紹介料を書いている機関にも、許可番号は確かめておきます。
- 会社の都合で辞めてもらうときの転職支援は、全部任せていれば委託先の仕事です。委託先には「会社の都合で契約を終えるときの転職支援は、月額に入っていますか。ハローワークへの同行もしてもらえますか」と聞いておくと、いざというときに慌てずにすみます。
委託料の見積書のどの行に何が入っているかの読み方は、登録支援機関の委託料の相場と見積書の読み方で確かめられます。
決める前に立ち止まる場面
委託先を替えるだけで、本人は同じ会社で働き続ける場合は、転職ではありません。その手順は、登録支援機関を乗り換える手順と届出で確かめられます。
今日やること
- 1日付を書き出す退職日を決め、入管への届出(14日以内)とハローワークへの届出(雇用保険に入っている人は翌日から10日以内)の期限を、社内の予定表に入れる
- 2本人に伝える辞める理由が会社の都合なら、本人に「特定技能で働き続けたいですか」と聞き、答えを書面に残す。本人の届出と、3か月・通算5年の決まりも伝える
- 3委託先に頼む委託先に「◯月◯日で契約を終えます。転職支援とハローワークへの同行、第4-3号の報告をお願いできますか」と伝える