「住居の確保の支援」は、特定技能1号の外国人を受け入れた会社が必ず行う10項目の支援(義務的支援)のうちの1つです。会社が部屋を用意して貸さなければならない決まりではなく、本人がまだ住まいを持っていないときに、本人の希望を聞いて、部屋を借りる手伝いをするか、会社が借りて貸すか、会社の社宅を貸すかのどれかをする決まりです。
この支援をするのは、受け入れる会社(入管の書類では「特定技能所属機関」)です。支援を全部任せているときは、委託先の登録支援機関がします。どちらがするときも、部屋の広さ・家賃の上限・保証人の決まりは同じです。
結論
- 住まいは、本人が借りる契約の手伝い、会社が借りて貸す、会社の社宅を貸す、の3つのどれかで用意します。本人の希望を聞いて決め、部屋は1人あたり7.5㎡以上の広さが要ります。
- 社宅の家賃を給料から引けるのは、会社が実際に払う家賃と管理費を、入居する人数で割った額までです。礼金・仲介手数料・更新料は引けません。引く前に、賃金控除の労使協定を結び、雇用条件書に項目と額を書いて、本人が分かる言葉で説明します。
- 本人が借りる契約で保証人がいないときは、会社(支援を全部任せていれば委託先)が連帯保証人になるか、保証会社を確保して会社が緊急連絡先になります。保証会社の保証料は会社側が払い、本人に払わせることはできません。
- 家賃(入れる)
- 90,000円
- 管理費(入れる)
- 6,000円
- 礼金・仲介手数料(入れない)
- 0円
- 入居する人数で割る
- 96,000円 ÷ 2人
※ 数字は、数え方を見せるための仮のものです。
※ 礼金や仲介手数料を、月々の家賃に上乗せして本人から取り戻すことはできません。水道光熱費は、実際にかかった額を同居する人数で割った額まで、家賃とは別に引けます。
3つの用意の仕方
本人が住まいを確保していないときは、次の3つのどれかで支援します。どれにするかは会社が一方的に決めるのではなく、本人の希望に基づいて決めます。
本人が借りる
- 会社は仲介業者や物件の情報を出し、必要なら部屋探しに同行する
- 敷金・礼金は本人が払う(会社が持つのも可)
- 保証人がいなければ、会社が連帯保証人になるか、保証会社+会社が緊急連絡先
会社が借りて貸す
- 会社が借主になり、本人の合意のもとで貸す
- 敷金・礼金・仲介手数料は会社が払い、本人から取れない
- 家賃は実費を人数で割った額まで
会社の社宅を貸す
- 会社が持つ社宅や寮を、本人の合意のもとで貸す
- 家賃は建設費・耐用年数・人数から出した合理的な額まで
- 日本人に社宅を出すなら、同じように出す
- 受け入れたあとに本人が引っ越すときも、同じ支援をします。ただし、配置換えなどの事情が無いのに自分の都合で引っ越すときは、しなくてかまいません。
- 技能実習2号などから特定技能1号に変わる人が、今の住まいにそのまま住むなら、住まいの支援は要りません。ただし、その住まいを出なければならなくなったときは、新しい住まいの支援が要ります。
- 本人が借りる部屋をどこにするかは、本人が決めます。それでも、広さや衛生面で適切な部屋になるよう手伝うところまでが、会社の仕事です。
住まいの支援は、10項目のうちの3番目です。ほかの9項目の中身と、委託先がやったかどうかを確かめる方法は、義務的支援10項目の中身と委託先の確かめ方で確かめられます。
部屋の広さの数え方
部屋の広さは、居室(寝る・食べるなど、ふだん続けて使う部屋)の面積で数えます。基準は次のとおりです。
| 場合 | 広さの基準 |
|---|---|
| 1人で住む | 居室7.5㎡以上 |
| 2人以上で住む | 居室全体÷人数が7.5㎡以上 |
| ロフト | 居室に入らない |
| 技能実習から今の社宅に住み続ける | 寝室1人4.5㎡以上 |
| 日本人に社宅がある | 日本人と同じ広さ |
- 「居室」は建築基準法でいう居室のことで、ロフトは入りません。たとえば3人で住むなら、居室の面積を全部足して3で割った数が7.5㎡以上かを見ます。
- 技能実習2号などから特定技能1号に変わる人が、会社がすでに用意している社宅に住み続けたいときは、7.5㎡の基準は当てはまりません。ただし、技能実習生に求められている寝室1人あたり4.5㎡以上は守る必要があります。
- 技能実習を終えていったん帰国し、海外から呼ぶ形(在留資格認定証明書の交付申請)で戻ってくる人も、実習生のときに住んでいた社宅に住み続けたいなら、寝室4.5㎡以上で足ります。
- 日本人の従業員に社宅を出しているなら、特定技能の人にも同じように出し、広さも同じにします。
技能実習から特定技能に変わる人の申請の順番と日数は、特定技能の外国人を受け入れるまでの流れと期間で確かめられます。
給料から引ける家賃の上限
会社が借りて貸すときも、社宅を貸すときも、会社が家賃でもうけることは認められていません。本人から取れるのは実費までで、何が実費に入るかは次のとおり決まっています。
| 費用 | 本人から取れるか |
|---|---|
| 家賃・管理費・共益費 | 人数で割った額まで |
| 敷金・礼金・保証金 | 取れない |
| 仲介手数料・更新手数料 | 取れない |
| 途中解約金 | 取れない |
| 水道光熱費 | 実費÷同居人数まで |
| 家具・家電・火災保険 | 実費以内で合意すれば可 |
- 会社の社宅なら、建てたり改築したりにかかった費用(土地の代金は除く)と、建物の耐用年数、入居する人数から出した合理的な額までです。
- 水道光熱費を割るときの人数には、同じ住まいに住む会社の人や家族も入れます。
- 家具・家電・食器や火災保険の費用も、居住費かその他の費用として本人から取れます。ただし、本人のためになるものだと本人が分かって受けていること、実費の範囲で耐用年数と人数から出した合理的な額であること、本人と合意していることの3つがそろっている場合に限ります。
- 引く額が高いと、入管から、実費であることの追加の立証を求められることがあります。天引きの額が適正でないと、「報酬の一部を払っていない」という欠格事由(受け入れができなくなる事情)に当たるおそれもあります。
支援の費用のうち本人に払わせてはいけないものの一覧は、登録支援機関の委託料の相場と見積書の読み方で確かめられます。
天引きの手続き
家賃を給料から引くには、入管の決まりと労働基準法の決まりの両方を満たす必要があります。次の順にそろえてください。
- 1労使協定を結ぶ従業員の過半数の労働組合(無ければ過半数の代表者)と、寮費を給料から引くことを書面で協定する。労働基準監督署への届出は要らない
- 2雇用条件書に書く参考様式第1-6号の「7.労使協定に基づく賃金支払時の控除」を「有」にし、別紙「賃金の支払」の控除する項目に居住費と1か月の額を書く
- 3本人に説明して合意をもらう額と内訳を、本人が十分に分かる言葉で説明し、本人が理解したうえで雇用条件書に署名してもらう
- 4変えたら届け出る控除を「無」から「有」にしたときや、控除する項目を増やしたときは、雇用契約の変更の届出を出す
雇用条件書(参考様式第1-6号)別紙「賃金の支払」の見本数字は仮
| 支払概算額 | 約 180,000円 | |
| 控除 (a)〜(c) 税金・社会保険料・雇用保険料 | 約 33,000円 | ① |
| 控除 (d) 食費 | 約 10,000円 | ① |
| 控除 (e) 居住費 | 約 13,000円 | ② |
| 控除 (f) 水道光熱費 | 約 3,000円 | ③ |
| 手取り支給額 | 約 121,000円 | ④ |
- ①「4.賃金支払時に控除する項目」は、どの項目でいくら引かれるかを本人に説明するための欄です。税金・社会保険料・雇用保険料のあとに、食費・居住費・その他が並びます。金額は見方を説明するための仮のものです
- ②居住費の額が、家賃と管理費を人数で割った額(社宅なら合理的な額)以内かを見ます。礼金や更新料を上乗せしていないかも見ます
- ③水道光熱費は、実際にかかった額を同居する人数で割った額以内です
- ④支払概算額から控除の合計を引いた額です。本文の「7.労使協定に基づく賃金支払時の控除」が「有」になっているかも見ます