特定技能1号で働ける期間は、通算で原則5年です。産前産後休業や育児休業で休むと、その分だけ働ける年数が減るのではないかと、本人も会社も心配します。決まりを知っておけば、減らさずに済みます。
会社が守る決まりは?
労働基準法と男女雇用機会均等法が、休業と解雇の決まりを定めています。
- 産前:出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から、本人が休みを請求したら働かせてはいけない(労働基準法65条1項)とされています。
- 産後:産後8週間は働かせてはいけない(6週間を過ぎて本人が請求し、医師が認めた仕事は可)(同条2項)とされています。
- 妊娠中:妊娠中に本人が請求したら、ほかの軽い仕事に替える(同条3項)とされています。
解雇についても決まりがあります。妊娠・出産や産休の請求・取得などを理由に、解雇やその他の不利益な扱いをしてはいけない(男女雇用機会均等法9条3項)とされています。さらに、妊娠中と出産後1年以内の解雇は、会社が別の理由だと証明しない限り無効(同条4項)とされています。
まず、決まりの上では休めることを、本人に伝えてください。
本人には何を聞く?
聞くのは、次の3つです。本人の分かる言葉で、委託先の担当者に同席してもらって聞きます。
- 出産の予定日と、休みに入りたい時期
- 育児休業を取るか、取るならいつまでか
- 日本で産むか、国に帰って産むか
答えによって、入管に出すものと時期が変わります。
入管には何を出す?
産休・育休・病気やけがの休業などで1か月以上働けないときは、受入れ困難の届出の対象とされています。期限について、入管の案内では受入れ困難の届出は、退職や1か月以上働けない原因になる事由が生じた日から14日以内(実際に退職した日などではない)とされています。
1か月以上働けないときは「1か月以上の活動未実施期間が生じた際の状況説明書」(参考様式第5-14号)に具体的に書いて付けるとされています。
どの日を「事由が生じた日」とするかは、休業の予定によって変わります。予定が決まった段階で、地方の入管に起点の日を確かめてから出すと確実です。届出の様式は特定技能の届出一覧で確かめられます。
休んだ期間は、通算5年に数える?
数えない扱いがあります。運用要領では、妊娠・出産・育児で働けない休業期間は、資料で確かめられれば通算5年に含めないとされています。入管のページでは、産休・育休の間も特定技能1号の在留資格は続くが、その期間は通算5年に含まれないとされています。
ただし、条件があります。休業を通算に含めない扱いを受けるには、休業の原因が起きたときに遅れずに受入れ困難の届出をしていることが必要とされています。届出をしていないと、この扱いを受けられないおそれがあります。
申請の時期と資料は、次のとおりです。
- 時期:この扱いを望むときは、通算5年が満了する3か月前から満了までに申請するとされています。
- 資料:休業期間に関する申立書(参考様式第1-30号)、母子健康手帳の写し、産休・育休を取ったことが分かる資料と、休業中のタイムカードか出勤簿の写し。
- 産休から育休に続けて入った場合:産休に続けて育休に入ったときは、通算5年の満了の時期に両方の書類を合わせて出すとされています。
母子健康手帳やタイムカードは、通算5年の満了の時期まで何年も先に使います。休業が終わったら、写しをまとめて保管してください。
例:2年働いた人が12か月休んだら?
仮に、特定技能1号で2年働いた人が、産休と育休で合わせて12か月休むとします。
- 特定技能1号の通算の上限
- 原則5年(60か月)
- 休業の前に働いた期間
- 2年(24か月)
- 休業の12か月
- 通算に数えない
※ 休業の原因が起きたときに受入れ困難の届出をし、満了の3か月前から申請して認められた場合です。数字は例です。
届出をしていなければ、この12か月も通算に入るおそれがあります。その場合、残りは24か月です。届出1枚で、働ける期間が1年変わる計算です。
出産の費用と、休んでいる間のお金は?
健康保険から、出産の費用と休業中のお金が出ます。
- 出産育児一時金:公的医療保険の加入者が出産したら、子1人につき原則50万円とされています。
- 出産手当金:出産手当金の対象は、出産の日以前42日(多胎は98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲で会社を休んだ期間とされています(協会けんぽの場合)。
特定技能の人が入る健康保険と、在留の申請に出す保険料の証明は、社会保険・年金と証明書の取り方で確かめられます。
国に帰って産むときは?
一時帰国して出産する場合は、日本に戻るための許可を確かめておきます。入管の運用要領では、再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けずに出国するときや、期限内に戻らないと分かったときは、受入れ困難の届出を出すとされています。
帰国の予定日と戻る予定日を本人と確かめ、出国の前に再入国の手続きを済ませているかを確かめてください。
同じ「休業期間を通算に数えない」扱いは、労災などのけがや病気にもあります。違いは特定技能の労災事故の対応で確かめられます。
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次にやること
- 本人に、予定日・休む時期・育休・出産する国の4点を、本人の言葉で聞きます。
- 1か月以上休む見込みなら、起点の日を地方の入管に確かめ、受入れ困難の届出を出します。
- 母子健康手帳の写し・休業の証明・休業中の出勤簿を、通算5年の満了まで保管します。